読書

「疾風怒濤のクラシック案内」(宮本文昭・アスキー新書)

同時に読んでいる金聖響の「ベートーベンの交響曲」が曲の背景や思想、過去から現在へのつながりまで解説にしているのと比較して、こちらは宮本さんの個人的なクラシック音楽遍歴を並べただけで、この本によって、クラシックについて詳しくなるというわけで…

「女の読み方」(中森明夫・朝日新書)

時々面白く読んでいた中森明夫のコラムが90年代の10年分を一気読み。 さすがに後半はお腹がいっぱいな感じがしたが、ひとつのことをやり続ける凄みのようなものを感じた。村上春樹的にいうなれば、これこと文化的な雪かきなのか。雪ノ下には美少女がいた、み…

「ホルモー六景」(万城目学・角川書店)

マキメのすごい所は時間と空間を自由に横断する滑稽さにあると感じる。似たような作風には「夜は短し歩けよ乙女」の森見登美彦がいるが、森見と比較するとマキメのほうが意識しない奇妙さが強くでている。森見はある程度構造が作られているのだが、マキメは…

「戦後の思想空間」(大澤真幸・ちくま新書)

講演をもとにしているため、内容としては難解だが語り口が平易なため、何度か読み返すと理解する事もできた。 ウルトラマンの脚本家・金城哲夫のエピソードが興味深い。 沖縄と日本、日本とアメリカ、の関係が人類とウルトラマンの関係に象徴されている点な…

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか(保木邦仁, 渡辺明・角川書店)

将棋ソフトが人間を超えるかどうかにはあまり興味はない(現在のアルゴリズムでもハードの性能が上がればソフトが勝つかもしれないし、仮に、人間に勝つようになったとしても、現在のチューリングマシンでは、将棋の究極の一手は有限時間内で見つけることは…

憲法九条を世界遺産に(太田光・中沢新一、集英社新書)

憲法9条と自衛隊の存在は矛盾している。その矛盾について宮沢賢治を手がかりに考えていくという流れだったが、ここは内田樹が言っているように、アメリカからみればなんらこの二つは矛盾していないし、この二つが同時に存在することで日本の国益に反する事が…

生物と無生物のあいだ(福岡伸一、講談社現代新書)

平易な文章で、それでいて科学の本質とアカデミズムの世界の最前線の雰囲気を説明してくれる。生物とは何かというテーマに沿って、分子生物学の黎明期のダイナミズムも伝わってくる。話の流れがすばらしいので、一気に読み上げてしまった。新しい着眼点から…

下流志向(内田樹・講談社)

いつもの事ながら内田先生の独特の思考は慧眼だとおもう。フリーターやニートについて論じているその議論そのものも非常に興味深いのだが、何よりも役に立つのはそのような視点の持ちようだと思う。 最近、内田先生の書いたものを続けて読んでいるが、なかな…

羽生 「最善手」を見つけ出す思考方法(保坂和志・光文社文庫)

個性とは事後にしかわからない 内田樹が、武道の型でも師匠を徹底的に真似て、それでも異なるものが残るとすれば、それが個性であるといっていた。期せずして同じ事を言っている。 言葉は人間が作り出したものではなく、言葉があるからこそ、人間は話すこと…

ハイドラ(金原ひとみ・新潮社)

人は不幸な状態にいる時の方が幸福な場合がある。きっと、それ以上悪くならないという安心感が、その人にとっての支えとなっているのだろう。同じように束縛された状態に安住してしまう人もいる。主人公は一度はそのような状態から抜け出すことができる。し…

養老孟司の<逆さメガネ>(養老孟司・PHP新書)

・知るということは、本質としての自分も変わるということ ・共同体にとって出来の悪い人がいても追い出さないのは社会全体としてのコストは安い。ここの合理性ではなく、システムの合理性の観点で考える。 どちらも内田樹がよく言っていることと同じだ。 二…

夜は短し歩けよ乙女(森見 登美彦・角川書店)

最近流行りになっているかのようにでている京都系の1冊。 同時期に話題になっていた万城目学とも、どこか雰囲気が似ている。 ほのぼのとしていて、浮遊感漂うようなファンタジーの世界が広がり、読書の楽しさを改めて教えてくれた時間だった。夜は短し歩けよ…

コーチング入門(本間正人・松瀬理保、日経文庫)

新書スタイルで、一通りのコーチング理論について書かれているので、時々読み返してリマインドするには良いだろう。コーチング入門 (日経文庫)作者: 本間正人,松瀬理保出版社/メーカー: 日本経済新聞社発売日: 2006/02メディア: 新書購入: 6人 クリック: 54…

ビジネス現場のコーチング活用法(桜井一紀・日経情報ストラテジー)

事例で明解 ビジネス現場のコーチング活用法作者: 桜井一紀,日経情報ストラテジー出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2006/05/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る

ファシリテーション入門(堀公俊・日経文庫)

facil=easy 人々の活動が容易に出来るように支援する。ファシリテーションの必要性はわかり、その為の手段も書かれているが、具体的な会話例がいちいち気に障る。僕が上司にこんなことを言われたら、一気にその後心を閉ざしてしまう気がするが。話し手:SOHO…

考える人生相談(加藤典洋・筑摩書房)

考える人生相談作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (16件) を見る

東京ファイティングキッズ(内田樹 平河克美・朝日文庫)

往復書簡を繰り返せる友人がいるということはとても幸せなことなのだろう。 人は意見を表すことによって、初めて自分の考えについて気づく事ができる。 内田と平河両氏の話はそれぞれ面白かったが、なによりも往復書簡の形で続けられる幸せ感が最後に残った…

鴨川ホルモー(万城目学)

鹿男あおによし(万城目学 幻冬舎)

鹿男あをによし作者: 万城目学出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 409回この商品を含むブログ (493件) を見る

フューチャリスト宣言(梅田望夫, 茂木健一郎 筑摩書房)

前向きにドライブしている会話は聞いていて楽しい。うまくいくか行かないかは分からないが、とにかくやってみるという態度はいつでも好きだ。先日、コーチングについて学んだときに自分はお祭り好きのプロモータータイプと診断された。確かに自分自身の命題…

新聞社 破綻したビジネスモデル(河内 隆・新潮社)

新聞社の道義的な胡散臭さの原因がそのビジネスモデルにあることがある程度根拠のある数字を用いて明確に書かれている。2010年の消費税率アップに伴って、新聞社の再編が起きるのは必然なのだろう。 しかし、本当の問題はビジネスとしての新聞という問題…

小泉の勝利メディアの敗北(上杉隆、草思社)

時代の流れの中で必然として登場した指導者の前ではメディアは常に無力なのかもしれない。「権力監視」がメディアの一番重要な役割としつつも、結局は大衆に迎合せざるを得ないメディアの宿命からは、徹底された権力監視は不可能なのではないだろうか。特に…

獣の奏者(上橋菜穂子、講談社)

ストーリテーリング巧みなファンタジー。しかし、それよりもラストの国のあり方に関しての洞察。真王は国の平安のために多くの大公の領民が犠牲になりながら国を守っていることを知らない。知らずにも自らの統治により国の平和が守られていると思っている。…

わたしを離さないで(カズオ・イシグロ、早川書房)

久しぶりに重くこころに残る小説を読んだ。読んでいる最中に感じた既視感は「アルジャーノンに花束を」だという事を一晩経って思い出した。中学か高校の頃に読んだアルジャーノンにも今回のイシグロの作品と同じように、人間とは何かというテーマが根底にあ…

どくとるマンボウ回想記(北杜夫、日本経済新聞出版社)

久しぶりの北杜夫エッセー。北杜夫の好きなところは、そこはかとないユーモアだと改めて認識した。独特の斜に構えた視点と、その角をうまく丸めるユーモア。いつも病気のネタを書いているのに、案外長生きの北杜夫に感謝しながらページをめくった半日だった…

高瀬川

平野啓一郎(講談社文庫)●清水 すれ違う人が消えてしまう。なぜだろう。 しかし、現代の社会では匿名性が行き渡りすぎていて、あらゆる人が消えてしまっているとも受け取れる。 ●高瀬川 非常にディテールに凝った文体。ラストの場面が印象深く心に残る。 第…

はじめてのプロジェクトマネジメント

近藤哲夫(日経文庫)プロジェクトをいかに「悲惨な」ものにしないかという視点で書かれている。 倒れる人が出るのが当然というような最近のプロジェクトに対して、いかにプロジェクトに関わる人全てが幸せになれるかという点を強調している。 自分の実体験…

バンビーノ!

イタリア料理人を目指す若者のビルドゥングスロマン。 舞台としてイタリア料理の世界が用意されているが、中身はそこら辺のサラリーマンと変わらない。以下にモチベーションを高くして仕事に望むかという教科書だと思った。 時にはやりたくない仕事(部署)…

決断力

羽生善治決断力 (角川oneテーマ21)作者: 羽生善治出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/07/08メディア: 新書購入: 44人 クリック: 297回この商品を含むブログ (562件) を見る特に将棋で羽生善治が特別に強いという理由は分からなかった。 実際のところ、ト…

SEの教科書

・そのシステムがなければどうなるか ・PMBOKSE の教科書 ~成功するSEの考え方、仕事の進め方 (技評SE新書001)作者: 深沢隆司出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2006/01/19メディア: 新書購入: 6人 クリック: 58回この商品を含むブログ (56件) を見る・ハ…