獣の奏者(上橋菜穂子、講談社)

ストーリテーリング巧みなファンタジー。しかし、それよりもラストの国のあり方に関しての洞察。真王は国の平安のために多くの大公の領民が犠牲になりながら国を守っていることを知らない。知らずにも自らの統治により国の平和が守られていると思っている。これは、軍事的にはアメリカの傘の下にいながら、自らの努力のみで現在の経済大国日本があると思っている、大多数の日本人をあらわしているのだろう。
壮大なファンタジーと思っていたら、現実世界の提示にもなっていた。