ハイドラ(金原ひとみ・新潮社)

人は不幸な状態にいる時の方が幸福な場合がある。きっと、それ以上悪くならないという安心感が、その人にとっての支えとなっているのだろう。同じように束縛された状態に安住してしまう人もいる。

主人公は一度はそのような状態から抜け出すことができる。しかし、再び前の男との病んだ関係に戻っていく。
ラストに示されるとわずかな希望の光が読後感を清涼なものとしてくれる。

ハイドラとはヒドラのことだった。

ハイドラ

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