高瀬川

平野啓一郎（講談社文庫）

●清水
すれ違う人が消えてしまう。なぜだろう。
しかし、現代の社会では匿名性が行き渡りすぎていて、あらゆる人が消えてしまっているとも受け取れる。
●高瀬川
非常にディテールに凝った文体。ラストの場面が印象深く心に残る。
第2期平野啓一郎の連作を読み終えた後に、もう一度読んでみるとまた違った感想をもつかも。
●追憶
やや難解。
今回は読み飛ばしてしまった。
●氷塊
村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を思い出す、パラレルに二人の主人公の話が展開する。すごいのは紙面の構成が上段と下段に分かれ、それぞれの話が同時に進行する点。
後半ではそれぞれの存在が交差する場面があり、緊張感があふれ、作者の実験が見事に結実している。

高瀬川 (講談社文庫)