ゆれる - 頭はヘルメットをかぶる為にあるんだ

オダギリジョーの映画は「メゾン・ド・ヒミコ」以外は今ひとつ良くなかったが、今回の「ゆれる」はよかった。オダギリジョーのアンニュイな感じが生かされていて、やはり現時点の日本映画の最高の役者の一人だと思う。

物語の最初から一気に引き込まれて、二転三転する展開であっという間にラストに向かう。
兄弟愛がひとつのテーマになっているが、兄からの視点、弟からの視点ともに丁寧に描かれていて、場面場面でどちらにも感情が移ろってしまった。

カンヌ映画祭にも出品され好評を得たようだが、海外でも兄弟の葛藤というのは同じなのだろうか。

田舎に残って「家」を継ぐ長男。都会へ出て自由にやる弟。
自由な弟に対する長男の嫉妬、親の愛情を存分に受ける兄への弟の嫉妬。
女性の監督がここまで描けたことに素直に驚く。